日吉屋の創業は江戸時代後期に初代当主墨蔵が京都・五条本覚寺周辺に傘店を
構えたことに始まります。その後上京区東西町に移転した後、二代目与三次郎の
代に、皇女ゆかりの尼寺である百々御所(宝鏡寺)の門前に店舗を構え、
以来三代目伊三郎、四代目江美子と百数十年にわたり、和傘を作り続けてきました。
今では京都で唯一残る和傘製造元になってしまいましたが、五代目耕太郎を
筆頭に伝統の技を受け継ぎ、老舗の看板を守り続けております。
和傘は茶の湯を始め、能や歌舞伎などの伝統芸能に彩りを添える華として使われて
おり、日本文化には無くてはならない小道具です。現在では日本旅館や料亭、
ホテルや店舗等でディスプレイや広告として、又、海外への御土産や、
小粋な贈り物として等、幅広い用途で使用されております。
京都で作られる和傘は「京和傘」と呼ばれ、京情緒豊かな優れた
伝統工芸品として愛好され、茶道家元御用達の本式野点傘や、祇園の
舞妓さん達が愛用する蛇の目傘などで知られております。
英国女王エリザベス2世や故ダイアナ妃が来日された際に開催された歓迎の
お茶会(桂離宮)にも、弊店の和傘(本式野点傘)をご利用頂いております。
創業以来、主に茶道家元を中心とした茶道業界や、京都の織物業界を中心に
営業して参りましたが、近年は自社ホームページを立ち上げ、国内販売の
強化はもとより海外販売も始め、幅広いお客様にご愛用頂いております。
時代の変遷と共に和傘業界は衰退し風前の灯という
状況ですが、各地に伝わる伝統行事や祭礼に使われる
和傘の製作・修復、各種伝統芸能の小道具製作、修理等、
培われてきた独自の技術を活かし日本文化の保護継承の
一助に努めると共に、「伝統とは革新の連続である」
という信念の元、千年の歴史を持つ和傘が持つ優れた構造
や伝統美を活かし、今の時代の中で普通に使われる
ような商品開発を進めております。